『ビワの葉』

“目には青葉 山ホトトギス 初ガツオ”という有名な俳句がありますが、私にとっては黄色く色づきだしたビワの実ほど初夏の訪れを実感させるものはありません。春から初夏にかけてビワの葉は実を大きく成長させる為、さかんに光合成を繰り返します。その結果、葉の中には色々な有効成分で一杯になってゆきます。そこで、一年を通して一番薬効の高いこの時期のビワの葉を採取してお灸や漢方薬に利用しています。ですから、初夏は風情にひたってばかりではいられません。アリとキリギリスの話ではありませんが、汗だくで一年分のビワの葉を確保しなければならない季節でもあるのです。

(1)ビワの葉の活用法

まずは、お灸です。水でぬらしたビワの葉をツボや患部に置きます。その上に順にタオル、新聞紙をのせます。そこで、棒灸と呼ばれる筒状に固めたもぐさに火をつけて、その新聞紙の上から押すように当てます。つまり、ビワの葉の有効成分をツボや患部に浸透させるのです。このビワの葉灸は全身ポカポカしてとても気持ちの良いものです。しかも、治療効果バツグンで、気管支喘息、胃腸虚弱、肝機能障害、ネフローゼ、小児の夜間尿やかんの虫、神経痛、関節痛等の病気に対応できます。次に内服ですが、ビワの葉の裏についている毛を取り除き、十分に乾燥させます。そして、必要な時、適当な大きさに切って、単品で健康茶のように用いたり、陳皮、甘草、生姜等の生薬を加え、“ビワ薬湯”という漢方薬として治療に使ったりしています。ビワ薬湯は室町時代あたりから庶民に親しまれ、明治の後期まで大阪の天神橋や難波橋などの橋のたもとでそのエキス液が立ち売りされていました。特に夏は飛ぶように売れたそうです。ビワ薬湯の効能は、ほぼビワの葉灸のそれと同じですが、より胃腸や肝臓には良い影響を与えるので、吐き気や下痢、だるいといった夏バテや夏の水あたり、食あたりの症状改善に最適だったからでしょう。

(2)ビワの葉の成分

ビワの葉の成分はブドウ糖、ショ糖、果糖、マルトース、デンプン、デキストリン、フラボノイド、タンニン、アミグダリン等です。これらの成分のうち特筆すべきものはアミグダリンです。別名ビタミンB17とも呼ばれています。アミグダリンは体内に入るとベータグルコシダーゼという特殊な酵素により分解され、ごく微量のシアン化合物になります。そして、すぐにローダーネーゼという細胞を保護する酵素により、そのシアン化合物は無害化されます。この生体内における化学変化を通して、血液を正常なアルカリ性に変え、炎症を鎮めたり、痛みを抑えたり、免疫力を増強したりして自然治癒力を高めているのです。

いかがでしたか。ビワの葉。風邪のような軽い病気からガンのように放っておけば必ず死に至る重篤な病気にまで応用できる優れた生薬です。是非、試してみてください。

但し、注意しておきたいことは、ビワの葉でガンが絶対治ると思ってはいけません。時期を逸しなければガンは西洋医学的治療で完治する可能性が高いのです。まずは病院で適切な治療を受け、その上で補助的にビワの葉灸をするなり、煎じて飲むなりすることが賢い人間のすることです。

ビワ葉(イメージ)ライセンス確認済