以前から、どんな物を日常食べるかによって、病気にかかる率に差が生じてくることがいわれてきました。前立腺癌にかかる率は中国人が1.8%なのに比べて、アメリカ人では53.4%である。

ところが前立腺癌にかかる率の低いアジア系の人がアメリカに移住すると、そのかかる率が高くなってくるのです。こうした現象のおこる原因は、食事内容の違いにあるのではという報告がオーストラリアでなされました。

ムラサキツメクサの抽出物を用いて、前立腺癌の患者の癌細胞に対する影響を調べたのです。この植物の抽出物を食したグループと、食さなかったグループについて、前立腺癌の手術後の癌組織を比較しました。

すると抽出物を食べたグループでは、癌細胞の25%にアポトーシスがおきていました。他方食さなかったグループでは1.5%だったのです。アポトーシスとは、細胞の自己死(自殺)と称されている現象で、例えば、受精卵から1つの個体が完成していく際、必要な細胞が残り、不必要な細胞が消えていく時などにみられる極めて重要な現象です。ここでは、そのアポトーシスがムラサキツメクサの抽出物によっておきたのです。癌細胞全体にアポトーシスがおこれば癌は治るということになります。

さて、ここから、アジア人の方がアメリカ人より、なぜ前立腺癌にかかる率が低いのかということになるのですが…。ムラサキツメクサの抽出物にはバイオチヤニン、ダイゼン、フォルムオノネチン、ゲニステインのイソフラボン類が含まれているそうで、こうしたイソフラボン類がアジアの食事には普通に含まれている。

他方、アメリカで普及している大豆イソフラボンにはこれら4種が全て含まれているわけではない。即ち、イソフラボン類の質の差(これは、食事の違いから来ていることになるのです)。この違いが前立腺癌にかかる率の差となってあらわれているのではないかと説明しています。

敗戦後、このかた日本の食事内容(食習慣も含めて)は大幅に変わり、欧米化しました。これにつれておこってくる病気の種類も変化し、和食の効用、即ち伝統食の再評価がおきました。ですが、伝統食への認識はまだ不十分のようです(もっとも、現時点ではまず食材に存在する残留農薬などの方が問題なのかもしれませんが)。

詳しく知りたい方は、スタッフにお尋ねください。