ス-パ-に並ぶ野菜はみてくれは良いが味はおちる。これは殆ど例外はない。味がおちるということは質がおちているということのあらわれ、野菜で最も注目されるビタミンの量もおちているのではという順序となる。これは野菜の潜在的ビタミン不足という状態で、従ってこれを食する人間も潜在的ビタミン不足ということになる。潜在的にという理由はビタミン不足の症状が外観からは伺い知れないからである。

腎臓が働かなくなった時、人工透析器を用いて体内の不要なものを外に出す透析療法なるものが行われる。この透析器は、不必要なものだけを外に出すというほどの技術的進歩が未だなく、まだ必要なものまで出てしまう。その代表が水にとける性質をもつビタミン類、C,B1,B2,B6,B12などなどである。それでなくても透析をうける人は食餌上の制約が多くビタミン類が不足がち、これに透析でビタミン類が出ていってしまうことが加わるのでビタミンの「出」と「入」のバランスがとりにくくなる。ここに潜在的ビタミン不足が生じてくるのだ。

透析を受けている人の中に肝機能検査のGOT,GPTの数値がいつも10より低い人をみうける。高すぎても困るが、低すぎても肝機能が低下しているのだ。B6不足の疑いがかかる。B6を内服して数値が10を超えて増加してくれば、B6が「やはり不足していたのだと」となる。又、肝臓は栄養物質をいろいろと加工して送り出す工場である。A物質(ホモシステイン)をB物質(メチオニン)に加工する作業も行っている。この時B6がないとAからB6に加工できず、別の工程で次々と作られ送り込まれてくるAはBに加工されずそのまま送らされてしまう。この結果、血液中のAの濃さは通常よりも高くなる。高ホモシステイン症という状態である。これは動脈硬化を促進する。当面、当の本人は何の異常も感じないがやがて動脈硬化の進行とともに異常を感じ出すという具合である。原料の入りが十分でもビタミン不足があればものの流れは滞る。時間が経つにつれてその影響が表面化する。

食品分析表なるものが売られている。例えば、トマト、それに含まれるタンパク質、脂肪、ビタミン類などなどの数値が示されている。だがそこには分析したトマトがどんなものか、色、形、生育した環境など一切記載はない。ということは、自分が今、食しているトマトが分析表に示されたトマトと同じ質(内容)のものであるという保障はないのである。ところが食する自分は今、食しているトマトには「これだけのもの」が当然含まれているものと思って食している。だが、食品分析表のものとは異なり大いに質の落ちる場合もある。この時、「これは本物のトマトではない」と判断するのが自分の味感覚である。どこか味の違うトマトは何かが違っているのである。食品分析にかけてみて、結果が分析表と同じであってもである。そして、このトマトを長期間食したその生き物に、どんな結果を生じさせるかは誰も知らないのである。

食物の本物の味を食品分析だけであらわせるわけではない。分析表のみをたよりとして味感覚を用いなくなった昨今である。食物分析表通りの栄養素が含まれている保障もない。ビタミンの潜在的不足が広がり出している。

味覚不足は亜鉛欠乏時でも生ずる。インスタント食品の普及とともに日本人の亜鉛摂取量の低下が懸念されている。ビタミン、ミネラルが必要十分に取れているか各自の食生活を再点検してみてはどうか。