“食”と病気の関連について、南カリフォルニアはセブン-デイズ-アドベンティストを対象とする疫学調査、この結果をうけての日本での同様な疫学調査は黄緑野菜がガン、動脈硬化、高血圧、心臓病などの病気を予防することを示しました。現今、私達は、動脈硬化と骨粗鬆症の時代に在る、といわれていますが、その骨粗鬆症にも野菜食は予防或は改善に役立つことが報告されています。

骨粗鬆症は骨が弱くなる病気です。弱くなる原因は通常いわれている骨のカルシウム含量が少なくなることだけでなく、骨でつくられるコラーゲンの性状にも大きく関係するといわれています。骨粗鬆症により脊柱の一部がつぶれれば背骨が曲ります、太もものつけ根の骨が折れれば、(手術で機能回復ができるとはいえ、やはり)運動機能がおちます。こうしたことは以後の身体全体の機能に影響を与え、動脈硬化と共に、諸病の源となっていきます。

注目の論文は、食事内客調査と骨密度を調べ、野菜・果物の摂取が多いと骨密度が高いことを示しました(何故そうなるかは不明です)。この調査では、菜食主義でなくとも、とにかく野菜果物を多くとると骨密度が高いという結果になっています。この論文と上記二つ論文から、「黄緑野菜を中心とする菜食は、動脈硬化と骨粗鬆症を同時に予防する」ということになります。

動脈硬化と骨粗鬆症、一見関係なさそうですが、その成り立ちに共通の因子があることがわかってきました。動脈硬化の発症にはサイトカイン(免疫系細胞から分泌される物質)が関与しますが、このサイトカインが骨では骨の吸収(骨がこわされること、通常古くなったものがこわされます、そして新しい骨が補充されます→骨の新生)に関与します。また、ホモシステインという物質の量が高く、ビタミンB6の量が低い状況では血管に動脈硬化がおこります。この状況は骨において、骨芽細胞(骨新生時活動します)が生産するコラーゲンに変質をもたらします。このことは、サイトカインによる骨の吸収とあわさって骨粗鬆をもたらします。

さらに、動脈硬化をおこした血管で、血管壁をつくる平滑筋細胞が骨芽細胞にかわり、これが骨組織をつくりカルシウムをくみこんでいく現象があります(血管壁の石灰化)。血管壁で骨がつくられているのです。これは以前はカルシウムが単に血管壁に沈着すると見られていました。更に、骨粗鬆症で一年当りの骨密度の低下がひどい人ほど、血管の石灰化の進行がつよいという話もあります。

このように、血管と骨には、そのおこる病態にかなり共通のメカニズムがあります。黄緑野菜を中心とする菜食がこの共通のメカニズムに介入するとすれば、動脈硬化と骨粗鬆症は必然的に同時に予防するということがおこります。

理論はともかくとして、事実は「菜食は骨粗鬆症と動脈硬化を予防しています」。大いに食すべしです。

引用論文:Am.J.Clin.Nutr 2006;83:1254-5   Am.J.Clin.Nutr 2006;83:1420-80

文献:CLINICIAN vol.53 no.554 CLINICIAN vol.54 no.560