脳梗塞や脳出血の基礎知識

まずは脳梗塞や脳出血などの脳卒中とは何か?
病態を理解した上で、発症の予防や後遺症対策に専念してください!

目次

脳卒中とは?

脳卒中とは、脳細胞が壊死することにより発症する疾患です。大別すると脳梗塞と脳出血になります。くも膜下出血は脳出血に含まれます。どれも死亡率の高い恐ろしい病気ですが、たとえ死をまぬがれても手足のマヒなど様々な後遺症が残ることが多いのです。

脳梗塞とは?

脳梗塞の原因として筆頭に挙げられえるのはアテローム変性と呼ばれる動脈硬化です。動脈硬化が進行すると、動脈の内腔がコレステロールなどの蓄積により狭まることで、血液が通りにくくなります。そこに血の塊である血栓が詰まったり、その血栓が剥がれて先の細い血管を詰まらせたりして、脳組織に栄養や酸素を運べなくなります。すると、脳組織が壊死を起こし、脳の機能が低下します。壊死の程度により予後は様々ですが、生命に関わる脳組織にダメージが加わると死亡するケースもあります。動脈硬化を助長する因子としては、高血圧症や糖尿病、脂質異常症などがありますが、喫煙や飲酒、肥満、ストレス、運動不足、片寄った食生活などが遠因となります。ここに生活習慣病と言われる所以があります。但し、全く動脈硬化が確認されない若年層にも脳梗塞が発症することがあります。運動や高温による発汗で血液の流動性が失われドロドロしてくると、それが脳血管に血栓を作ることがあります。また、狭心症や心肥大、弁膜症などの心疾患による心房細動により固まりやすくなった血液が脳血管に運ばれることで脳梗塞が起こることもあります。更に原因不明の心房細動も知られています。全く心臓に病気がなくても発生するとなると、脳梗塞は老若男女に関わらず発症する危険性があるのです。激しい頭痛や手足のマヒ、めまい、視力異常といった症状が頻発したら、まずは専門医の診察を受けましょう。

脳出血とは?

脳出血の原因の多くは高血圧症ですが、動脈の壁の脆弱も危険因子になっています。動脈硬化は血管の内腔を狭めるだけではありません。動脈は内側から順に内膜、中膜、外膜で構成されていますが、アテロームは中膜や外膜まで浸潤し、脆い血管にしてしまいます。そうなると、何かの刺激で動脈の壁が破れ、血液が外に溢れ出し、その先の脳組織に栄養や酸素が届けられなくなってしまいます。多くは高い血圧が加わることで発症しますが、安静時でも起こることがありますので、動脈硬化との因果関係が強いのは確かです。高血圧症の危険因子は塩分の摂り過ぎや喫煙、肥満、脂質異常症などがあります。ところが、たまに高血圧症や動脈硬化がなくても脳出血が起こることがあります。この場合は先天的な脳動脈の異常が考えられます。奇形や血管腫、動脈瘤などがあると動脈の壁が弱くなり、脳出血の危険性が高まります。くも膜下出血の多くは動脈瘤によるもので、早期に瘤をクリップで挟み血液の流入を防ぐことで、発作を抑え込んでいます。脳梗塞と同じく激しい頭痛や手足のマヒを感じることが多ければ、専門医の診察が必要です。

脳梗塞の治療

脳梗塞を起こした人が病院に運ばれると、まず最初に呼吸、脈拍、血圧、体温を正常に戻すための治療が行なわれます。血圧が低い場合には輸液が、脈拍数が多すぎるときにはβ遮断剤などの薬で安定させます。脈拍数が遅すぎる場合には、ペースメーカーを埋め込むこともあります。また、発熱は、たとえ1~2度でも脳の損傷を急激に悪化させるため、発熱がある場合には、解熱剤などで熱を下げます。 脳梗塞が起こると、梗塞が起きた中心部分は、血管が完全に詰まって1時間くらいで脳細胞が死んでしまいますが、周辺部分は1~数時間はまだ生きています。そのため、早めに適切な治療を行ない、血栓を溶かして血流を回復させれば、機能を回復することも可能です。しかし治療開始が遅れると周囲の組織も徐々に壊死に陥り、1本の血管が詰まっただけなのに時間とともに梗塞は少しずつ大きくなっていきます。 また、血栓を溶かすといっても、詰まってすぐならよいのですが、3~4時間以上たってしまうと、詰まった血栓を溶かしたときに、壊死に陥った組織に大量の血液が入り込み、部分的に出血を起こすこともあります。
ですから脳梗塞ではなるべく早く、できれば発症して3時間以内に治療が開始できるよう、すぐに専門医のいる病院に患者さんを運ぶ必要があります。 発症したばかりの脳梗塞の治療は、内科的な薬物療法が主体になります。脳外科の手術が有効なのは、小脳に大きな梗塞がある場合や、大脳全体が梗塞のためにはれ上がって、生命の危険があるときです。 治療薬には脳のむくみをとる抗脳浮腫剤、血栓溶解剤、抗血小板剤、血栓の再発を防ぐ抗血栓剤、脳保護剤などがあります。近年は、設備の整った専門病院で早期に治療を受けた場合、脳梗塞発作で亡くなる人は10%以下になっています。発作を起こした人の約45%は、完全に社会復帰しています。ただし、残念ながら、残りの人には手足のマヒなど何らかの後遺症が残り、重い場合には寝たきりになったり、車椅子の生活を余儀なくされたりすることもあります。 また、発症後1年以内に、10人に1人弱の割合で再発を起こす可能性が高いのです。再発すると後遺症がさらに強くなり、寝たきり状態や認知症などを引き起こす確率が高くなります。再発の予防には、高血圧や動脈硬化など原因となる病気をきちんと治療しておくことと、抗血小板剤を毎日服用することが基本になります。なお、心原性脳塞栓症の再発予防には、抗血小板剤よりも抗凝固剤などのほうが効果的とされています。また、早期に再発の危険性を察知するには、めまいや視力低下、手足に力が入らないなどの症状を見逃さないことです。

脳出血の治療

脳出血の治療は、血腫による脳の損傷を軽くし、再出血や血腫の増大を防ぎ、圧迫によって血腫の周囲の2次的変化が進まないようにすることが目的になります。このため内科的治療としては、頭蓋内圧亢進に対する抗脳浮腫剤の投与、血圧のコントロール、電解質のバランスの維持、合併症の予防と治療が基本になります。外科的治療が必要かどうかの検討も同時に行なわれます。血腫の増大は、発症してから数時間以内に約20%の患者さんにみられ、多くの場合は発症6時間以内に止まります。一方、脳浮腫は脳ヘルニアを起こして、予後に重大な影響を与えます。通常、脳浮腫は3日目から強くなり、ピークとなるのは1~2週間目ぐらいです。 脳出血の治療で最も重要なのは血圧のコントロールです。脳には、血圧の変動に対して、脳の血流を一定に保つ機能がありますが、脳出血が起きた当初はこの機能が働かないため、脳の血流は血圧の上がり下がりに合わせて変動します。 そのため、急に血圧を低下させると脳の血流量が減り、脳内を流れる血液の循環が悪くなるので、降圧剤を用いる場合には、薬の投与前の血圧の約80%を目標として血圧をコントロールします。 脳出血の外科的治療は、頭蓋骨を開いて血腫を除去する方法と、特殊な器具を使って頭蓋骨の一部に孔をあけ、そこから血腫を吸引する方法(定位的血腫吸引術)があります。近年は、定位的血腫吸引術が行なわれるケースが増えています。 なお、脳出血では、いろいろな合併症が起こる可能性があります。なかでもけいれん発作や発熱、消化管出血、電解質異常、高血糖、下肢静脈血栓症などは、予後を大きく左右するので、それらに対する治療も重要なポイントです。損傷の程度や場所で治療効果に差がありますが、救急治療が奏功すると、手足のマヒなどの後遺症が全く残らないこともあります。

くも膜下出血の治療

くも膜は脳の表面をおおっている膜で、その膜の下にある動脈からの出血をくも膜下出血と呼んでいます。くも膜下出血の原因で最も多いのは脳動脈瘤破裂ですが、現在では破裂した動脈瘤をクリップでとめる手術や血管内治療が行なわれ、成果を上げています。ただし、これは再出血防止が目的であり、破壊された脳組織が回復するわけではありません。脳の血管奇形が原因で出血が起きた場合には、奇形部分を摘出する手術や、ガンマナイフによる放射線治療が行なわれます。血圧のコントロールなどの全身管理も重要です。 脳卒中全般にいえることですが、なかでもくも膜下出血では、発病直後に、いかに適切な処置が行なえるかが、病気の予後を大きく左右します。そのため絶対安静にして救急車で脳神経外科に運び、手術が必要かどうかを早急に調べます。若年層にも多く、死亡率も高い病気なので、親族にくも膜下出血の患者さんがいたら、進んで脳ドックを受けて、脳動脈瘤の有無を調べてもらうことが肝要です。死亡率が高い反面、手足の感覚マヒや運動マヒが残らないことも多いのが特徴です。

脳梗塞の後遺症とは?

脳梗塞の多くは血栓が脳血管の内腔を塞ぐことが原因です。そのため、脳細胞が壊死を起こし、その支配領域に機能障害をもたらします。手足や顔の運動マヒや感覚マヒ、運動マヒや感覚マヒ、言語障害、嚥下障害、視覚障害、うつや健忘といった高次機能障害などの後遺症に悩まされます。中高齢者の場合は動脈硬化が遠因になっていますが、若年層は原因不明の脳梗塞が多発します。恐らく心房細動のような心臓の不整脈により固まりやすい血液が脳血管に流れ込むことが原因でしょう。これを助長するのが乱れた生活習慣とストレスです。

脳出血の後遺症とは?

脳出血は脳血管が何らかの原因で破れるにより発症する疾患です。脳梗塞と同じような後遺症を起こします。但し、脳梗塞より死亡率も高く、後遺症も激しい傾向にあります。動脈硬化や高血圧症が原因の多くを占めています。くも膜下出血も脳出血の一部ですが、若年層でも発症しますので、若いからと言って安心していられません。多くはくも膜下の動脈にできた瘤が原因です。遺伝的に瘤を持っている人がいますので、親戚にくも膜下出血で倒れた方がいましたら、定期的に検査した方が無難です。
軽く済めば、殆ど後遺症を残すことはありませんが、脳組織を強く圧迫するようになると、脳梗塞や脳出血と同じような後遺症があらわれます。

リハビリは最大の脳卒中の後遺症対策

最近は救急医療の進歩によって、脳梗塞や脳出血といった脳卒中によるで死亡率が低下してきました。しかし、命が助かったからといっても、それでよし、というわけにいかないのが脳卒中の厄介な点です。重い後遺症が残れば、その後の生活に大きな支障が出て、一般の人と同じ生活が送れない、ということにもなりかねません。そのため、精神的な障害を続発しているケースが多くみられます。自分の意志で身体を動かせなくなったことを悲観したり、将来の自分を想像するたび空しくなってしまったりと、辛い日々を送るようになります。それが回復を遅らせている原因のひとつになっています。脳内の神経伝達物質の分泌も低下しますし、回復に向けての行動も消極的になってしまいがちです。やはり、現実を冷静に受け止めて、患者さんだけでなく、家族全体で前向きに対処していくことが大切です。その上で、積極的にリハビリに励まなければなりません。脳卒中の後遺症はリハビリが最優先される対策法だからです。
手足の運動障害でも構音障害や失語症と呼ばれる言語障害でも嚥下障害でも、専門医のプログラムを理学療法士や作業療法士、言語療法士などが実地することにより機能回復を期します。まずは発症後直ぐに行われる急性期の訓練です。主に廃用性萎縮を防ぐための他動運動や、上半身を起こす動作など、本格的なリハビリにつなげられるような基本動作を身につけます。
次は回復期の訓練です。手足の動きを改善するため立ったり座ったり、歩いたり、物を持ったり、積み木をしたり、正しい発音や言語流暢性を高めるなど、日常生活に役立つ動作や機能を取り戻すために行われます。ところが、6カ月というリハビリ期間で十分な改善がみられないことがあります。特に運動マヒの場合、痙縮や固縮を起こしていることが多く、この障害が回復を長引かせている原因です。発症後数週間経過すると、筋肉が異常興奮して固く締まってきます。本来ならば痙縮や固縮がみられない時期にリハビリを行うべきですが、安静にして再発作を未然に防ぐということが日本の治療指針になっています。
諸外国ではCI療法と呼ばれる早期のリハビリを行うことで機能回復を目指しています。それどころか、鍼灸やマッサージ、アロマなどの代替え療法も取り入れ、積極的に社会復帰を支援しています。早期に少しでも手足を動かすことができれば、病院を退院するころには完全回復も夢ではありません。

更に詳しく知りたい方は次をご覧ください。
■脳梗塞や脳出血についてもっと詳しく
■脳梗塞や脳出血の治療
■脳梗塞や脳出血の後遺症の治療

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