おすすめの予防法3 断食

当院が推薦する脳梗塞や脳出血の予防法 断食

脳卒中発症のリスクを高める最大の因子は高血圧症と糖尿病です。
その元凶となるのが肥満です。

高血圧症の方の多くは太り気味です。表面積も体積も大きいので、身体の隅々まで血液を送り込もうとすると、必然的に血圧を上げることになってしまいます。そこで、肥満の解消ですが、手っ取り早いのは食べないことです。但し、計画性がない過激なカロリー制限は、自律神経系やホルモン系のバランスを崩し、体調不良のもとになってしまいます。貧血や骨折、精神不安どころか、食事を受けつけない拒食症になってしまう可能性もあります。

この肥満対策として古今東西利用されてきたのが断食です。

特に宗教家の間では、戒律を厳守する、あるいは心身を鍛える手段として盛んに行われてきました。最も厳しいのは、比叡山の修行僧が9日間飲まず食わずでひたすら読経を続ける千日回峰です。これは常人では出来ない修行で、生物の恒常性維持の範囲を遥かに超えています。長期の断食を一般人向けにアレンジして慣行している宗教施設もありますが、完璧な断食を行うことは稀です。少なくとも水分と塩分の補給は許しています。また、3~4日間の断食も行われているようですが、いずれにしろ経験豊富な指導者が必要です。不整脈や胃痛、脱水などが起こることがあるからです。このような断食を体験した人の多くは、身も心も軽やかになり、視力も聴力も味覚も敏感になっている自分に気付くと言っています。身体が若返る、あるいはリフレッシュできるということでしょうか。

そこで、誰でも安全に行えるように開発されたのが、一定期間断続的に行う断食や1日1食のプチ断食です。例えば、1~2週間間隔をあけて2~3日丸1日食べない日を設けるといった断続的な断食や、1日のうちで夕食しか食べない断食です。丸1日の断食でしたら宗教関係以外でも普通に行われています。サラリーマンも参加しやすいように土日を利用した1泊2日の断食が、そこら中で行われています。この程度でしたら、そう難しいことではありません。誰でも経験していることですから。インフルエンザや消化不良で丸1日食べられなかった日があったでしょう。その後通常の食事が摂れるようになれば、全く問題はありません。まず身体を壊すことはないでしょう。イスラムのラマダンは日没には食事が摂れるので、丸一日の断食とは言えませんが、モルモン教徒は1月に1回は朝から晩まで一切食べ物は口にしません。それでいて、健康状態は良好で、脳卒中も心臓病もガンも、全米一少ないとのことです。

ただ、毎日1食しか食べないというプチ断食は慣れるまで大変です。1日3度の食事を続けてきた方にとっては、1食でも欠かすのは至難の業でしょうから。でも、仏門に帰依している僧侶、特に禅宗では1日1食が基本です。どしても足りない場合は少食と呼ばれるお粥を軽くすするだけです。それでも早朝から行水や掃除、座禅、読経と過酷な修行をこなしています。俗世でも同じようなことが云えます。1日1食の生活を貫いている人は、沢山います。かの有名な聖路加病院の日野原先生も、そのうちのひとりです。現役で診療もしていましたし、講演や接待など、精力的にスケジュールを消化していました。それでも100歳を超える長寿を全うしました。その他にも知名人ではタケシやタモリ、鶴太郎、TMレボリューションの西川貴教、シンガーソングライターのGACKT,元ピンクレディーの未唯、ジャパネットたかたの高田明とか、数え上げたら切がありません。オバマ元大統領も実践しているとのことです。皆さん特別な体力の持ち主ということではなさそうですし、それでいて我々庶民以上に動き回っています。動機は健康の為とのことですが、確かに皆さん元気そうです。ということは、1日1食が超人並みということではなく、中高年齢者になれば、その程度のカロリーで十分ということであり、低カロリーが身体を健康に導くということになります。それに耐えられるようになったのは、やはり1日1食生活の中で元気な自分を見つけたからでしょう。最初は辛くても、健康という宝が得られれば、我慢から喜びに変わっていきます。もはや心身が順応していることでしょう。

そもそも、ついこの間まで我々人類は1日1食が当たり前だったのです。このついこの間までという意味ですが、人類の歴史という観点からみればということで、今世紀の話ではありません。今から約6000年前まで続いた縄文時代は、ほぼ狩猟生活でしたし、弥生時代でも半農半狩猟の生活と思われています。このような環境では安定的な食糧の確保は難しかったので、とても1日3食は食べられません。大半の学者は1日1食が限度という見解です。農耕が発展した鎌倉時代や室町時代でも1日2食と思われています。3食が日常化したのは江戸時代に入ってからのことです。

ここで注目したいところは、1日3食が定着したころから、高血圧症や糖尿病、脳卒中、心臓病が多発するようになったということです。それでも江戸の昔は高カロリーの料理は殆どありませんでしたので、飽食のツケがまわってくるということは少なかったでしょう。おそらく、第二次世界大戦終了後、戦勝国のアメリカから糖分や脂肪分に富んだ高カロリー食が入ってきたことが、成人病を誘発する大きな原因でしょうが、交通機関の発達やストレス社会の影響も無視できません。1日3食としても、1杯のご飯とイワシと味噌汁、ナスやキュウリや人参の漬物を食べて、バリバリ動き回って爽快な気分でいれば、少なくとも2型糖尿病になる可能性は低いでしょうから。元経団連の土光さんのようにです。

そもそも、この1日3食から1食に抑えることで、成人病の予防ができると唱えたのは、元労働科学研究所の小山内博元所長です。門下の片岡幸雄先生と共に1日夕食のみで、昼間の空腹時に薄ら汗をかくような歩行運動を1週に3日ほど行うことで成人病が防げると提唱しました。その頃、片岡幸雄先生は千葉大教育学部教授の職についていましたし、様々な健康づくりの研究会を発足し、精力的に活動していましたので、多くの協力者に恵まれました。先生方は、運動の奨励や便秘に対する注意など、いくつかの健康づくりの条件も付け加えています。1日3食の食事が様々な病気の原因になっている可能性が高いとし、これらの提言をしっかり遂行すれば、血流が改善され新陳代謝も高まるし、免疫力も向上するので、肥満どころか高血圧症も糖尿病も改善されるどころか、脳卒中や心筋梗塞、ガンのリスクも軽減すると言っています。

この1日1食とは、朝と昼を抜かし、夕食のみ食べるということです。このエネルギーが筋肉や肝臓に溜まっているので、昼間それを使えば、普通の生活が送れるということです。また、血中の糖分もコレステロールなどの脂質も低下している時間が長くなるので、糖による血管内皮細胞の変性や、コレステロールが血管の中に入り込むアテローム変性などの動脈硬化が抑制されるのです。このことは血流の改善につながり、心臓の負担が減るということで、高血圧症の予防にもなるのです。

その他、金沢医科大学医学部内分泌代謝制御学部門の古家大祐元教授の研究でも、30代から60代の男性4人を対象に、通常の摂取カロリーを25%減らした食生活を7週間続けてもらうことで、長寿遺伝子とも呼ばれるサーチュイン遺伝子が活発に働きだすというデータが得られています。我々の染色体の端にはテロメアと呼ばれる末端小粒がありますが、老化とともにすり減っていくことが判っています。つまり、テロメアが多ければ老化しにくいということになります。サーチュイン遺伝子が、このテロメアの減少を防ぐとのことです。脳卒中の予防としての断食は適正体重の維持と血圧の安定、新陳代謝の亢進が主目的ですが、このように寿命まで延ばしてくれるのです。

このように断食は成人病の予防や悪化防止に役立ちますが、行うにあたり不測の事態を考慮すると、いくつかの心得が必要です。まずは無理しないようにです。過労や睡眠不足、病気のときは慎むべきでしょう。また、健康でも脱水症状になることがありますので、水分や塩分など電解質の補給は欠かせません。更に長期の断食は指導者の元で行うべきでしょう。これらの注意を踏まえた上で行うと、脳卒中の予防や再発防止に大きな助けになることでしょう。

そこで、当院が推薦するのは、小山内先生や片岡先生が提唱している1日1食のプチ断食です。誰にでも出来ますし、慣れれば長期に続けることも可能です。実行する際のポイントは次の事項になります。

  • ① 食事は1日1食、夕食のみ摂取すること。満足するまで食べても良いが、タンパク質や炭水化物、脂質のバランスがとれた食事内容にすること。ビタミンやミネラルの補給も忘れてはならない。
  • ② 食事をしたあとは、心身の活動をやめ、気楽に休息すること。そのまま就寝しても構わない。
  • ③ 朝は番茶か紅茶などのカロリーなしの飲料で水分補給程度に止める。
  • ④ 昼も朝と同じように水分補給程度に止める。どうしても我慢できないときは、青汁や野菜サラダ、おかゆ、うどん、そばなどの100kカロリー程度の食品の摂取に抑える。当然食べたあとは横になるなどの休息に努め、胃腸への負担を減らす。

更に1日1食断食の効果を高めたい場合は、次の事項も行うと良いでしょう。

  • ① 空腹時に軽く汗が出てくる程度の歩行運動を行う。時間にして30~60分、1週に3日程度で構わない。
    ※肝臓や筋肉、皮下、血管に溜まったグリコーゲンや脂肪を積極的に減少させることになるので、高血圧症や脂質異常症、糖尿病、肥満の解消につながる。
  • ② 便秘は血流を悪化させるので、任意の時間にトイレに入り、排便のクセをつける。夕食時に繊維分の多い副材を摂れば、スムーズな排便が期待できる。

とにかく食生活は習慣なので、諦めずに進めていけば、1日1食習慣が身に付くはずです。

詳しくは、小山内博著“健康づくりの基礎 ―予防医学の立場から―”労働科学研究所、あるいは片岡幸雄著“すきっ腹ウォーキング ベースボール・マガジン社をお読みになってください。

その他の予防法はこちらを参考にしてください。

■脳梗塞や脳出血の予防(再発予防含む)
■当院が推薦する脳梗塞や脳出血の予防法 鍼灸
■当院が推薦する脳梗塞や脳出血の予防法 瞑想
■脳梗塞や脳出血の予防のために積極的に摂りたい食品

ページトップへ
漢方イメージ なかよし漢方堂のホームページはこちらから

脳梗塞・脳出血