脳梗塞・脳出血のリハビリ

脳卒中の後遺症とリハビリ

後遺症をいかに克服するかが治療の大切なポイント

治療法の進歩によって、かつては死の病とされた脳卒中も、命が助かるケースが増えてきました。しかし、命が助かったからといっても、それでよし、というわけにいかないのが脳卒中の厄介な点です。重い後遺症が残れば、その後の生活に大きな支障が出て、一般の人と同じ生活が送れない、ということにもなりかねません。
後遺症の問題は、脳卒中の治療の重要なポイントとなのです。ただ、後遺症は、適切な治療と根気強いリハビリによって、克服することも可能です。現実を冷静に受け止めて、患者さんだけでなく、家族全体で前向きに対処していくことが大切です。主な後遺症としては、手足のマヒや言語障害、視覚障害、感覚障害などがあり、脳のどの部分に障害が起きたかによって、後遺症も異なってきます。

片マヒ

脳の運動中枢や神経線維が障害されて片方の手足にマヒが起こる状態を「片マヒ」と呼びます。大脳は左右の半球に分けられますが、左半球は右半身を、右半球は左半身をコントロールしています。このため、左の運動中枢が障害されると右半身にマヒが起こり、その逆もあります。マヒの度合いは、手足のしびれやふるえといった軽いものから、まったく動けず、痛みなどの感覚もなくなる重いものまで、脳にどの程度の障害が及んだかによってさまざまです。
足のマヒでいえば、寝たきりになる人はほとんどいません。適切な治療とリハビリを行なえば、片マヒの患者さんの約80%以上が、杖などを使って一人で歩けるようになります。脳の障害が軽ければ、完全回復も可能です。大切なのは諦めずにリハビリに励むことです。そして、回復が望めない場合でも、現状を維持し、残された機能を生かすためのリハビリを続けることが、後遺症を克服するうえで最も重要なのです。

言語障害

言語障害も、障害の起きた脳の場所によって症状が違ってきます。側頭葉に障害が起こった場合には、言葉を聞いて理解する力が低下し、相手との会話が成り立たなくなります。このような症状をウェルニッケ失語といいます。側頭葉には言葉を聞いて理解する感覚性言語中枢(ウェルニッケ中枢)があり、この部分が障害を受けてしまうと、音としては聞こえますが、判別ができなくなり、相手の言葉を理解できなくなります。また、発音自体は問題ないのですが、話すときに言葉を正しく選択できず、意味のある言葉になりません。精神障害と間違えられることがよくあります。
一方、思考や判断、計算などをつかさどる前頭葉に障害を受けると、言葉を理解できても、話そうとすると言葉にならなくなります。これはブローカー失語といい、手足を動かすための指令を出す運動中枢や、言葉を話すための機能を調整する運動性言語中枢が障害されることが原因で起こります。そのほかにも、言葉を理解することも話すこともできない全失語、言葉を理解できても簡単な単語を忘れてしまう健忘性失語があります。
これらの失語症は、発病後6か月を過ぎてから回復することもあります。失語症のリハビリは、病状や精神状態が安定してから始め、根気よく続けることが大切です。また、舌やのどなどの発音に必要な筋肉にマヒがあると、ロレツが回らなくなり、言葉がつかえてしまうマヒ性構音障害が起こります。この場合には、早い段階で、顔や口、舌を動かす練習が必要になります。

視覚障害・感覚障害

視覚障害とは、視野の片側半分が見えにくくなるもので、半盲とも呼ばれます。両目のどちらにも起こる可能性があり、慣れるまでは見えない部分にある壁などにぶつかったり、読み書きが不自由になります。このような場合は、顔ごと上下左右に動かして周囲を確認し、欠けている視野を補う必要があります。 感覚障害は、マヒのある手足がしびれたり、痛みや熱さ、冷たさ、圧迫感などを感じにくくなることです。痛みを感じないため、けがややけどしても気づかないことがあります。とくに台所や浴室では、このような事故が起こりやすいので注意が必要です。手足のしびれは、発病後何か月もたってからあらわれることがあります。

失認・失行

失認というのは、見えたり聞こえたりすることはできても、それが何であるか理解できないことをいいます。脳卒中でよくみられるのは左半側空間失認で、自分から見た左側半分の空間が認識できなくなり、左側にあるものを無視してしまいます。たとえば、どこかに出かけても、左側を認識できないために、左に曲がるべき場所で曲がることができず、いつまでも目的地に辿りつけないといったことが起こります。失認がみられる場合、家族は患者さんが左側を認識できないということを念頭に置いて接する必要があります。 一方、失行とは、マヒなどの運動障害がないのに、簡単な動作がうまく行なえなくなることをいいます。コップの水を飲むという何気ない行為にも、視覚や皮膚感覚、さまざまな筋肉の動きを総合的にコントロールする機能が必要です。脳の局所に障害が起こると、それらの機能がうまく働かなくなり、服のボタンがかけられない、スムーズに歩けないといった症状があらわれます。そのほかにもさまざまな症状が日常生活の中で出てきますが、家族は患者さんに正しい行為を毎日繰り返し教えていくことが大切です。

情緒障害

一般に、脳卒中の後遺症というと、手足のマヒや言語障害など身体的な症状を思い浮かべがちですが、意欲の低下や気分の落ち込み(仰うつ状態)といった情緒障害も、脳卒中ではしばしばみられる後遺症の一つです。患者さんにとって突然体が思うように動かない事実は大変なショックであり、気分が暗くなったり、感情の起伏が激しくなることがあります。このような症状が長く続くと、リハビリに消極的になり、後遺症の回復を遅らせることにもなりかねません。家族や周囲の人の気づかいや励ましが何よりも必要です。

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後遺症はリハビリでどの程度、回復するか

後遺症はどの程度回復するものなのか、一生このままの状態なのかなどは、患者さんや家族が最も心配することでしょう。
一般的には、後遺症で最も多いのが手足の片マヒです。手のマヒが残るかどうかは、発作が起きてから1か月めと3か月めが目安とされます。発作当日から手が動かせるようであれば、完全に回復します。また、1か月以内に動くようであれば、不自由なく使える程度まで、3か月以内に動くようなら、健康な手に対する補助的な役目として使える程度までの回復が望めます。一方、足のマヒの場合は、発作後1か月以内に、寝た状態で足で自転車をこぐ動きができれば、正常の歩行ができるようになります。3か月たっても立てひざができないと歩行ができる期待は低くなりますが、いずれにしてもリハビリを根気よく続けていくことが大切です。

脳卒中リハビリの進め方

リハビリでは、手足のマヒなど、脳の障害によって失われた機能を回復させることが目的になります。ただ、後遺症がどの程度回復するかは、なかなか事前に予測することができません。そこで、実際のリハビリでは「失われた機能を回復させる訓練」と同時に、「残された能力を開発する訓練」を行ない、万が一、機能が回復しなくても一定の生活ができるように努めます。
たとえば、半身がマヒし歩けなくなった場合には、歩く訓練と並行して、残された半身で、車椅子を操作する訓練をします。このように二本立ての訓練には、マヒがよくならなかった場合の対応策を準備しておくことのほかに、マヒがよくなるまでの生活を少しでも快適に過ごすために自立を促すという目的があります。
マヒは患者に最も不安を与える症状です。患者さんのなかには、車椅子の訓練を始めようとすると「マヒした半身はもうこれ以上、よくならない」という宣告と受け止め、訓練を拒絶する人もいます。しかし、脳卒中は、かぜや腹痛のように数日で治るものではありません。多くの場合、程度の差はあるものの何らかの後遺症をともないます。
いまある生活をできるだけ充実させながら、将来に向けた訓練を続けていくことが大切なのです。脳卒中のリハビリは、ふつう急性期・回復期・維持期の3段階に分けられます。

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急性期の訓練

脳卒中の場合、後遺症を最小限に抑えるためには、できるだけ早い時期にリハビリを始める必要があります。ベッドに寝たまま動かないでいると、筋肉が萎縮したり、関節が硬くなって動く範囲が狭くなったり、あるいは心肺機能や知的能力が低下したりするためです。このように、体を使わずにいることによって起こる心身の能力低下を、廃用症候群と呼んでいます。
最近では、廃用症候群を防ぐため、手術の翌日にはリハビリを始めるケースが増えてきて、患者さんが自分で体を動かせない場合には、病院のスタッフや家族が、患者さんの姿勢を変えたり、関節を動かしたりします。
また、脳卒中の場合、壊死した脳細胞の周囲には、機能を停止しているだけで完全には死んでいない細胞があります。早い段階でリハビリを始めることは、こうした仮死状態の細胞を生き返らせる効果もあるのです。もちろん、患者さんの状態によって、その内容は異なってきます。
症状が軽い場合で、脳の血管の状態を検査し、頭を起こしても病状が悪化しないと判断されたときは、発症後の早い時期から座るための坐位訓練を行ないます。しかし、症状が軽くても、頭を起こすことによって脳に血液が流れなくなってしまう危険性がある場合には、体を起こさず、寝た状態で関節を動かす練習(関節可動域訓練)をします。また、症状が重く意識がない場合には、関節可動域訓練に加え、関節をよい状態に保っておくこと(良肢位保持)も必要です。

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回復期の訓練

治療が終わって、リハビリ専門病院などに移り、運動能力などの生活に必要な機能の回復を図るのが回復期のリハビリの目的です。運動能力の回復が最も期待できる時期で、発症してから1~6か月が、回復期にあたります。理学療法士(PT)や作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)など、さまざまな医療スタッフが加わって、集中的な訓練が行なわれます。
訓練の内容は、マヒした手足に対する訓練と、起き上がったり、歩いたりといった動作の訓練が中心になります。
手足のマヒの回復は、自然治癒力によるところが大きいのですが、実際には、毎日、手足を動かす努力をしていないと、どの程度までマヒが回復してきたのかわかりません。また、関節を動かしていないと、関節が硬くなってしまう危険性があります。ただし、過ぎたるは及ばざるがごとしで、過度の訓練が痛みを引き起こし、可動域は広がっても、痛みのために動かせない、ということにもなりかねません。
動作の訓練は、障害によってできなくなった動作を、健康なときとは異なった方法でできるようにするものです。初めて体験する体の使い方なので、最初のうちは大変ですが、繰り返し練習し、覚えていかなくてはならない訓練といえます。
これらの訓練はリハビリルームで行なわれますが、それだけで終わってしまっては十分な効果は望めません。大切なのは、訓練によってできるようになった動作を、日常生活でも実践することです。リハビリルームで練習した動作を、積極的に生活のなかで行なうように努力することが大切なのです。もちろん、あまりにも時間がかかる動作、あるいはその動作を行なうだけで疲れきってしまうような動作は別です。無理のない範囲で、機能回復に努めればよいのです。
リハビリ専門病院のなかには、「患者さんにできることは、どんなことでも、時間がかかってもやってもらう」という方針の病院もあります。しかし、あまりに厳格にこの方針を実行すると、患者さんに多大な努力を強要するだけで、それに見合った効果が得られないで終わってしまうケースが少なくありません。生活のなかで行なう動作は、あらかじめ実用的なものであることを見きわめ、よく吟味しておく必要があります。

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維持期の訓練

自宅に戻って、リハビリで回復した機能を維持しながら、社会復帰をめざす時期です。せっかく取り戻した機能も、使わなければ再び失われてしまいます。自宅に戻ってからも、根気強くリハビリを続けることが大切です。ただ、病院などで医療スタッフに見守られながら行なうのと違って、自宅でのリハビリは患者さん自身がしっかりと目的意識をもっていないと長続きしにくいものです。リハビリといっても、この時期になれば特別な訓練は必要ありません。着替えや食事など、日常生活における動作を積極的に自分で行なうことが、そのままリハビリになるのです。
たとえば、回復期までの訓練で歩けるようになっていれば、できるだけ屋内・屋外を歩くようにします。散歩などは、身体能力だけでなく、知的能力の回復にも効果があります。もちろん、屋内にしろ屋外にしろ、家族や周囲の人が付き添って、転倒などの事故が起こらないよう注意する必要があります。
また、回復期までの訓練で歩くことができず、寝たきりや車椅子が必要な患者さんの場合、関節がかたまるのを防いだり、筋力の強化を図ることが大切になります。とくに関節の可動域確保は、リハビリの全期間を通じて、とても大切なことです。なお、知的機能は、発症後1~2年までは回復し続けるので、疲れない範囲でテレビを見たり新聞を読むなどして、脳を積極的に働かせるように心がけましょう。
このほか、維持期における生活の注意として、脳卒中の再発予防のために、きちんと血圧をコントロールすること、筋力が低下した体に負担をかけないために体重の増加に注意すること、定期的に通院して再発のチェックや回復度をみてもらうことなども大切です。
また、再発の予防にも努めてください。再発を繰り返すたびに、死亡率も高くなりますし、後遺症の度合いも強くなります。特に維持期になると、油断するケースが多くみられます。

■その対策については脳梗塞や脳出血の予防(再発予防含む)を参考にしてください>>

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リハビリの停滞期

どんなにリハビリに励んでも、半年過ぎる頃に停滞期に入ることが多いようです。 理学療法士や作業療法士、あるいは言語療法士などのリハビリのプロからも、これ以上大幅な回復が望めないと言われれば、なにクソと思う反面、意気消沈してしまうでしょう。その上、担当医からも同じようなことを言われれば、絶望感に苛まれてしまうはずです。確かにプラトーと呼ばれる停滞期は下肢で7~8ヶ月ぐらい、上肢で11ヶ月前後に入ると言われています。手や指でも1年ほどで限界に近づくようです。更に失語や失認などの高次脳機能障害も伴えば、いくら機能訓練を行っても相応の回復は期待できないと断言されてしまいます。 でも、それは本当のことでしょうか?人間は自然界ではひ弱でも、長い進化の過程をくぐり抜けてきました。天変地異や疫病、ケガ、飢餓、ストレスなどなど、人の生存を脅かす様々な危険を乗り越えてきたのです。ですから、脳梗塞や脳出血の後遺症にしたって、回復しないことはないはずです。人それぞれ治癒力は違います。強い方もいれば長い時間をかけて徐々に回復していく弱い方もいます。ですから、医師も理学療法士も作業療法士、あるいは言語療法士も予後を断言することはできないのです。

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脳の可塑性

近年、脳の可塑性についての論文が盛んに報告されています。これは脳卒中の後遺症にもあてはまります。事実、当院に通われる患者さんの多くは数年前に発症した方ですが、大なり小なり改善しているのは確かです。杖なしで歩けるようになった方、車いすが不要になり自分の足で歩けるようになった方、肘が伸びるようになり速いテンポで歩けるようになった方、手や指が開くようになってゴルフのクラブやコップが握れるようになった方、視野が広がって半盲から脱出できた方、言葉がすらすらしゃべれるようになった方、痺れや痛みがとれた方、数え上げたらきりがないぐらいの改善例があります。 これらの方々は専門医からリハビリを続けても現状維持がいっぱいと言われた方ばかりです。専門家の意見は貴重ですが、時として夢も希望も打ち消してしまいます。これではリハビリを行う意欲は失せてしまいます。脳卒中の患者さんの多くはうつ気味です。それまで出来ていたことが急に不可能になってしまうのですから、当然の成り行きでしょう。眠りが浅い、あるいは途中覚醒してしまうケースが多いというのも、それを如実にあわらしています。単に高次機能障害という言葉では片づけられません。うつ状態になると、セロトニンやアドレナリン、ドーパミンをはじめ、脳内の伝達ホルモンの分泌が低下するばかりか、筋肉を動かすアセチルコリンの分泌も減少しています。その上で追い打ちをかけられるような言葉を浴びせられたら、運動機能も更に低下してしまいます。プラトー状態が続いているという現実もありますが、冷たいと思われなくもない言葉が回復を遅らせる場合も少なくないでしょう。 でも、プラトー状態から脱出して、更なる改善が見られる例も少なくありません。したがって、病院の専門家とて、現行のリハビリでは改善は望めないと言うのが正しい見解でしょう。西洋医学が全て勝っているとは言えません。救急医療は目を見張るものがあります。昔でしたら命を救えないことの方が多かったでしょうが、現在は生還する患者さんの確率が高くなっています。知識や技術だけではなく、使命感を持った立派な救急救命医です。看護師さんや技師さんも然りです。その後の急性期リハビリや回復期リハビリも必須であることには違いありません。但し、何度も繰り返しますが、6ヶ月過ぎたらどれほどリハビリに励んでも現状維持が関の山という言葉は禁句です。西洋医学という土俵で相撲をとっても更なる回復が望めないのなら、他の土俵に移るべきなのです。そう、東洋医学という土俵があるのです。この土俵で一緒に相撲というリハビリをしませんか。下の動画は発症6ヶ月後どころか、数年経過している患者さんの臨床です。是非、脳の可逆性と活脳鍼を信じてください。何らかの改善がみられることでしょう。

■ 活脳鍼の作用機序に関しては詳しくはコチラ。 >>

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世界保健機構(WHO)も認める鍼灸の効果

手足の運動麻痺やシビレ、言語障害、半盲などの後遺症には鍼灸治療も効果的です。 世界保健機構(WHO)では脳梗塞や脳出血の後遺症の対策として鍼灸治療を認めています。特に活脳鍼は回復期のリハビリと併用すると、目覚ましい効果が期待できます。

■世界保健機構(WHO)が認める鍼灸の適応症>>
■活脳鍼の実際の治療についてはこちらを参考にして下さい>>
■リハビリマッサージはこちら>>
■関連サイト、「龍ちゃんの健康講座」もご覧ください>>

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