「黄色いトマトと赤いトマト-黄色のトマトができました。」

品種改良によって、黄色いトマトができたそうです。通常、私達がみるトマトは赤です。トマトはリコピンで有名です。黄色のトマトにもリコピンが含まれていますが、このリコピンにちがいがあるため、色のちがいが生じているそうです。リコピンはΒ―カロテンの仲間で、このリコピンという名称もいくつかの類似構造をもつものの総称です。

(1)はΒ―カロテンの構造です。炭素原子が連なる鎖ですが、一つおきに二重結合があり、両端に同じ形のアクセサリー(構造物)がつきます。この両端のアクセサリーがなくなったものがリコピンですが、リコピンには(2),(3),(4),その他などのものがあります。大きくわけて一直線上のものと、途中で折れまがるものとになります。

 

(2)について、右から数えて5番目と6番目の炭素原子(C5,C6)に注目してみます。拡大するとC5,C6の間は二重結合で、C5に結合するC4,C6に結合すC7との間の結合手は、二重結合をはさんで互に反対側です。この結合をトランス型結合といいます。ので、(2)はトランス-リコピンと名がついています。

 

次に(3)ではC5,C6に結合するC4,C7夫々の結合手は二重結合をはさむことはなく、同じ側に位置します。これがシス型結合で、この構造を1つでももつのがシス・リコピンです。(4)では1ケ以上シス構造があります(わかりにくいかもしれませんが4ケあります)。

 

通常の赤いトマトに含まれるリコピンは90%以上がトランス型リコピンだそうです。一方黄色いトマトでは90%以上がシス型リコピンとのことです。このことが、赤であるのか、黄色であるのかをきめているのだそうです。生体利用効率という言葉があります。あるものを食した時、その生体により吸収され活用される効率のことです。いくら食材に含まれる量が多くとも体を「す通り」したのでは利用効率は「ゼロ」です。では今、私達が赤と黄色のトマト夫々を食したとします。生体利用効率にちがいがあるのでしょうか。赤より黄の方が利用効率は2倍以上高いそうです。シス型の方がトランス型よりも、生体利用効率はよいのです。

 

リコピンやΒ-カロテンはカロテノイドと総称されますが、カロテノイドは一般に、その吸収利用効率は調理法,―加熱とか油類を用いるかどうか或は、摂取法-油類と一緒にとるのかどうか、などの影響をうけるそうです。特に一不飽和脂肪酸を含む油(代表としてオリーブ油)と一緒にとると吸収がよくなるそうです。なおヒトの血液或組織中のリコピンは少なくとも50%がシス型だそうです。以上はU.S.Aオハイオ州立大学からの報告です。

 

文献:Journal of Agrioultural and Food Chemistry 2007;5S:1597-1603

構造図は上記文献より引用一部改変

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