「脂肪肝-常習飲酒家とメタボリック・シンドロームの肝臓におきるリスク」

脂肪肝は、中性脂肪が過剰に肝臓に蓄積し、このため肝細胞は腫大し肝臓内の血液循環が悪くなり肝細胞の代謝が悪くなっている状態です。脂肪肝を起こす代表は常習飲酒家ですが、メタボリック・シンドロームの象徴、肥満(内臓脂肪蓄積)でも起きます。常習飲酒家におきる脂肪肝(=アルコール性脂肪肝)は常習者の過半数で起きていると言われています。常習飲酒と判定する基準は、各種アルコール性飲料をエタノール量に換算して、1日60g以上且つ週5日以上の摂取とされています。具体的には、

 

日本酒    1日 3合以上

ビール    1日 1500ml以上

ウィスキ-  1日 30ml(シングル)杯で6杯以上

ワイン    1日 グラス5杯以上

 

となるようです。(アルコール性飲料はアルコール以外に、糖類、アミノ酸などが含まれるため、カロリー的には相互に違いが生じます。)

アルコール性脂肪肝では、そのまま飲酒が続くとアルコール性肝炎或は肝繊維症(肝臓の繊維化)を発症し、これを経て肝硬変に、時に肝ガンの発症に至ることもあります。

アルコール摂取時、食事中の脂肪量が増していくにつれ肝臓の中性脂肪量も増していくことを示したデータがあるそうです。これは肝細胞内の小器官であるミトコンドリアの活動がアルコールにより抑えられ、中性脂肪の合成が促進するためで、アルコール性脂肪肝がアルコールの直接作用によって起こるのであり、アルコール摂取時にアルコールばかり飲むことによる栄養障害から起こるものではない-ということになります。従って、我々が酒を飲む時にしばしば「タンパク質・ビタミン類を十分に取れば大丈夫!」と互いに言い合って飲みますが、この見解は間違いです。

常習飲酒家ではない人に起きる脂肪肝(非アルコール性脂肪肝)はその70%がメタボリック・シンドローム状態の(即ち内臓脂肪蓄積がある)ものだそうで、このとき肝機能検査値に異常があれば、肝臓への脂肪蓄積によると推定されています。常習飲酒家でもメタボリック・シンドロームのものでも、なかなか脂肪肝がおきてこない人がいることから、遺伝的素因の関与があると考えられています。アルコール代謝関連酵素の遺伝子多型(型のばらつき)、ミクロゾーム・トリグリセリド転移蛋白(肝臓から中性脂肪を搬び出すのに必要)の遺伝子多型などがそれです。

さて、脂肪肝をなおす方法で我々が主体的に行えることは、アルコール性のものは断酒、非アルコール性のものは内臓脂肪の減量と生活習慣病対策です。常習飲酒家で肥満のものは両方を実践するということになります。内臓脂肪を減らす食事の基本は総カロリーと脂肪摂取量の制限ですが、注意すべきは糖質-グリセミック・インデックスの高いものは糖質の吸収が早いので血糖が急上昇する。このことは脂肪肝の増悪につながるので糖質の選択を必要とする。

理想体重BMI22kg/㎡の場合の例でみると、1日当たりの総カロリーは軽作業25kcal/体重1kg、重労働35kcal/体重1kgとされている。脂肪摂取量は総カロリーの20%以下で、飽和脂肪酸量は総脂肪量の7%以下、不飽和脂肪酸量の比率を上げる。なお、マーガリンなどトランス脂肪酸を含むもの(不飽和脂肪酸など常温で液状のものを半固形化するために水素添加した時に生ずる、脂肪酸の構造が天然のものと異なる)はさける。

蛋白質(1~1.3g/体重1㎏/日)は、1日平均摂取量80gの場合は考慮する必要なし-といった具合です。運動は、有酸素運動(歩行、ジョギング、スポーツなど)を行う。軽~中等度の強度で、1日10分~30分、週3~5日以上。とにかく筋肉を動かし中性脂肪をエネルギーとし消費する。

 

以上の如くですが云うは易く、行うは難しです。いかに自分が実践する必要性を感じるかがポイントとなります。

 

参考文献

http://homepage2.nifty.com/tsukuba-pinkribbon/GlycemicIndex.htm

Alcohol 2004;34;9-19

日内会誌 2003;92;1623-1637

Hepatol Res 2004;28;1-11

肥満研 2006;12

日医雑誌 2009;138(6):1107-1120

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